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心の癖は、どこからくるのだろう

人は、大人になってから親を理解し始めることがあります。                     そして時に、自分の中に親と同じ姿を見つけて驚くことがあります。                 今日は、そんな「父の面影」について書いてみようと思います。

父の面影

私は父と思い出があまり多くありません。

どちらかというと、母と過ごす時間の方が長く、父とは少し距離がありました。

父は気が短く、機嫌が悪いと母に文句を言い、その後しばらく口を利かなくなることもありました。   母からは「1週間くらい話さない時もあったよ」と聞いたことがあります。

小さい頃、家の中で遊んでいた時のことです。                           父から、寝るから静かにしなさい、と注意されました。

それでも子供だった私は、はしゃいでいたのでしょう。

突然、父が私の腕を強くつねったのです。

驚きと痛さで私はひどく泣き出しました。

すると母はすぐに来て、私を外へ連れて行ってくれました。

「月がきれいだね」

そう言いながら、母と夜道を歩いた記憶が、今でも心に残っています。

父は大きな声を出すことも多く、家ではテレビを見て、タバコを吸い、晩酌している姿ばかりが印象に残っています。

部屋の片づけが下手だと怒られ、                                「ちゃんと片付けるまで降りてくるな」                               と言われたこともありました。

でも機嫌のいいときには、弟と私と3人で花札をしてくれたこともあります。              弟とは将棋を指していて、楽しそうにしていた姿を覚えています。

褒めてほしかった

高校生のころ、親展で届いた成績表を父が見た時です。

父は、                                            「勉強したら成績上がるのは当たり前だべや」                           と言いました。

私は悔しくて、「なんで褒めてくれないの!!」と泣きながら怒ったのを覚えています。

思えば、父に褒められた記憶はほとんどありません。

ただ一度だけ、東京で働いていたころ、亡くなった患者様のご家族から頂いた手紙を見せた時、

「よかったな」

と、父が言ってくれたことがありました。

今思えば、父は素直に気持ちを表現するのが苦手だったのかもしれません。

心理を学ぶようになってから、少しづつそう思えるようになりました。

父は外で働き、毎月家に給料を入れてくれました。

不器用な人だったけど、そのお陰で私たちは育ててもらったのだと思います。

感謝しています。

父の人生を振り返ると、父自身もまた、大変な幼少期を生きていました。

父が小学校低学年の頃、祖父が倒れ、実家のかまぼこ屋も閉めることになったそうです。

祖母は、一人で6人の子供を育て上げました。

戦後間もない時代。                                       生きるだけでも精一杯だったのでしょう。

きっと、父も本当は甘えたかった。                                褒めてもらいたかった。

でも、そんな余裕のない時代だったのかもしれません。

そう思うと、父が生きているうちに気づきたかったなと、今も時々思います。

あんなに嫌わなくてもよかったのに、と。

今は毎日、父の写真の前で手を合わせています。

そして最近、よく思うのです。

父の面影は、私の中にもあるのだと。

私は、理不尽なことやずるさを感じると、強い怒りが湧くことがあります。

今はなるべく抑えられるようになりましたが、昔は感情が一気にあふれて、声を荒げることもありました。

特に安心できる相手には強く出てしまうことがありました。                     母にもよく大きな声を出していたのです。

ある時、ハッとしました。

「私、お父さんと同じことをしている」

そう気づいたのです。

母に、「お父さんに似てしまった」と言うと、

母は笑いながら、                                        「前からそうだったよ。お父さんが二人いるみたいだった」                     と言いました。

それから私は、自分の話し方や感情の出し方を意識するようになりました。

それでも今も、世の中の理不尽さや、日常の小さなイライラに心が揺れることがあります。

そんな時、父が自分の中から顔を出すような感覚になることもあります。

今は、夫にその感情を向けてしまうこともあるかもしれません。

心の癖というものは、簡単には消えないのでしょう。

でもだからこそ、                                        自分を知ろうとすること。                                    自分の心の動きを見つめ続けること。

それが自分らしく生きていくためには大切なのだと思っています。

父を通して見えてきたのは、                                  「人は誰も、傷つきながら生きている」ということでした。                     だからこそ私は、これからも自分の心を見つめながら、人にもやさしくありたいと思っています。

今でも時折、亡くなった母と歩いた夜道を思い出します。

「月がきれいだね」

あの言葉は、今も私の心を静かに照らしてくれている気がします。

 

 

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